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2010/01/16

探偵・花咲太郎は閃かない/入間人間

4048682229探偵・花咲太郎は閃かない (メディアワークス文庫)
アスキー・メディアワークス 2009-12-16

by G-Tools


あらすじ

「推理は省いてショートカットしないとね」「期待してるわよ、メータンテー」ぼくの名前は花咲太郎。探偵だ。浮気調査が大事件となる事務所に勤め、日々迷子犬を探す仕事に明け暮れている。…にもかかわらず、皆さんはぼくの職業が公になるや、期待に目を輝かせて見つめてくる。刹那の閃きで事態を看破する名推理で、最良の結末を提供してくれるのだろうと。残念ながらぼくはただのロリコンだ。…っと。最愛の美少女・トウキが隣で睨んできてゾクゾクした。でも悪寒はそれだけじゃない。ぼくらの眼前には、なぜか真っ赤に乾いた死体が。…ぼくに過度な期待はしないで欲しいんだけどな。これは、『閃かない』探偵物語だ。



レビュー

ロリコン・花咲太郎は嘆かない

現実に居そうな探偵を描こうとした。だけど出来なかった。そんな作品。
MW文庫という新しいレーベルから出版された作品だが。内容は入間人間氏の電撃文庫作品のスピンオフである。
みーまーちゃんの8巻で異彩を放っていたロリコン探偵にスポットライトを当てた作品に仕上がっている。ロリコンというある種の社会の癌的な存在を扱う入間人間氏は流石というか、何というか。

殺人事件等には全くの興味がない探偵。しかし連れている女の子が、メタ視点で云う所の探偵気質。そのせいで死体との遭遇率が高くなってしまっている。
本人の望まぬ所で事件に遭遇する。そして解決してしまうパターンが多い。解決と云い切ってしまうには、疑問が生まれる事件も在るが。
本人が犬・猫専門探偵を謳っているだけで、実際には花咲太郎という探偵は優秀なのではないだろうか。本編中に見受けられた見落としは、やる気がないから閃かなかったとも云える。真面目に推理をすれば名探偵も夢ではないのかもしれない。

花咲太郎という存在が名探偵になったとしたら。それはそれで面白い作品だろう。だが花咲太郎は閃かないからこそ面白いのかもしれない。
本書の5章の中で、探偵が殺し屋と絡んだシーンを見ていると、この作品の目指すものが何だか分かったような気がする。
緊張感がないのだ。探偵と殺し屋。2つが揃えば、時間に追われるようなサスペンスが始まっても可笑しくないような要因なのだ。だが本文中での2人の邂逅からは、目が回るような展開に発展する事はなかった。ただの自転車の追いかけっこをしただけなのだから。

花咲太郎はローカルな探偵なのだろう。地域密着型なのだ。
何だかんだ云って、実は町を愛しているタイプだ。町に根を張って生きていこうとするタイプの人間だ。町の平和を祈る探偵。安寧を望む探偵。だが事件には遭遇してしまう。そんな探偵が地べたに這いつくばって歩み続ける姿が、この作品の面白さになり得ているのかもしれない。
爽快感はない。大きな感動もない。だけど魅力的なキャラクターが事件に振り回されているのを観劇するのは面白い。すごく良いキャラクター小説なのだろう。魅力の在るキャラクターを生み出せているのだから。
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□MW文庫 | Comments(0) | Trackback(0)
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