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2010/01/27

月見月理解の探偵殺人/明月千里

4797356715月見月理解の探偵殺人 (GA文庫)
mebae
ソフトバンククリエイティブ 2009-12-15

by G-Tools


「どうしたんだ、暗い顔して。またちゅーでもしてやろうか?」「全部君が原因だよっ!」都築初のクラスに車椅子の少女が現れた。唯我独尊な態度で周囲を圧倒する、その美しい少女の名は月見月理解。彼女は、ネット上のチャット参加型推理ゲーム“探偵殺人ゲーム”の伝説的なプレイヤーにして、大財閥・月見月家の探偵でもあった。「この学校に、人殺しがいる」理解は、初に調査の協力を求めると共に、無視できない、ひとつの勝負を持ちかけてきた!第1回GA文庫大賞・奨励賞、一番の問題作が登場!「ならば今度も俺様を殺してみるがいい。それでは―“探偵殺人ゲーム”を始めよう」。



俺様探偵の私的事件簿。

ライトノベルであり、そしてミステリ。
キャラクター小説としての体を上手く活用している。純粋にミステリ作品として評価すると及第点。ライトノベルだの、ミステリだのと穿った視点で作品を評価するのは宜しくない。純粋に物語の感想を述べよう。

高校生の女の子の一人称が俺様。そして探偵を名乗ると来たものだ。アクの強い設定だ。人の目を引くキャラクターを構築できているので、キャラクター小説としては成功なのだろう。
アクが強いという表現を使ったが、独特なのはキャラクターだけではなく、お話自体一癖も二癖も在る。騙し騙されて信仰していく物語。ミスリードが錯綜してのトリック。
起承転結の結への流れは、読んでいて飽く事がなかった。エンディングまでの流れが、怒涛の勢いで進行したのだ。
終盤の流れに感心させられたのは事実だ。だがその終盤の流れまで持っていく進行に、少々起伏が足りなかった気がする。悪く云ってしまえば、途中で飽きてしまう可能性も在る。タイム・テーブルに若干の改善の余地が在るのだ。

世界のあまり美しくない部分に、直面してしまうような描写が在る。ネガティブな人は読むのに気を付けた方がいいだろう。ネガティブ思考者への、要注意指定書籍だ。
私たちが生活しているのは、綺麗事だけでは乗り切れない世界である。そういう観点から考えると、私はこの作品の在り方は嫌いではありません。人間に完璧な救済の在るお話ではありませんでした。ですが完璧な絶望だけが待っているようなお話でもなかった。読後感は悪くないのだ。

人間の複雑怪奇な精神構造が引き起こした悲劇の物語なのだろう。いや悲劇ではないか。人間が人間らしく生きようとして破綻した物語、とでも云えばいいのか。
一概にこれだと云い切る事が難しい。読み終わった後も、頭の中で物語に対する姿勢が確定しないのは、ある意味においては良い本だったという事なのかもしれない。読後も考察を続けることが出来るのは、その物語に魅力が在るからに、他ならない。

完璧な救済がない代わりに、完璧な絶望もないのだ。
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□GA文庫 | Comments(0) | Trackback(1)
2010/01/26

僕は友達が少ない/平坂読

4840128790僕は友達が少ない (MF文庫J)
ブリキ
メディアファクトリー 2009-08-21

by G-Tools


学校で浮いている羽瀬川小鷹は、ある時いつも不機嫌そうな美少女の三日月夜空が一人で楽しげに喋っているのを目撃する。「もしかして幽霊とか見える人?」「友達と話していただけだ。エア友達と!」「(駄目だこいつ…)」小鷹は夜空とどうすれば友達が出来るか話し合うのだが、夜空は無駄な行動力で友達作りを目指す残念な部まで作ってしまう。しかも何を間違ったか続々と残念な美少女達が入部してきて―。みんなでギャルゲーをやったりプールに行ったり演劇をやったり色々と迷走気味な彼らは本当に友達を作れるのか?アレげだけどやけに楽しい残念系青春ラブコメディ誕生。



はがない。そして儚い人達の青春紀行。もとい奇行。

友達が少ない人間が集り、友達を増やすべく日々修練を重ねる。それが隣人部。
蓋を開ければ、主人公のハーレムな部活動だった。

起伏の無い物語だった。起承転結も、序破急も、へったくれもない。一本道の物語として捉えるからいけないのかもしれない。連作短編形式の小説だと思えば、これはこれでありだ。
深く考えることなく、純粋に向き合えば楽しめるだろう。ネタも豊富ですし。

そういえばカラーページと導入で登場していたキャラクター――志熊理科が本編に登場していなかった。おそらく続刊で登場するかと思われるが、とんだブラフである。カラーページで紹介されるくらいなのだから、本編でもそれなりの活躍が在るのかと思いきや、そんな事もないようなキャラクターが多数見受けられた。これまた続刊で活躍するのだろうか。ある種のカラーページ詐欺である。

所謂嘘を嘘と見抜けない人が使うのは難しい掲示板で、扱われる事が多いネタの使用が乱発していた。ネット・スラングを多用した作品なのだ。前知識があると、より一層楽しめるのかもしれない。
もちろんそんな小難しい事を考える必要もなく、面白いお話で在る事に変わりはないのだが。考えるな感じるんだ、という系列の作品ですね。猜疑心を持って挑んではいけない類のものです。流されるままに楽しむのが正解です。

最後に1つ云わせて頂くと。
幸村は僕の嫁です。
□MF文庫 | Comments(0) | Trackback(0)
2010/01/21

這いよれ! ニャル子さん/逢空万太

4797354143這いよれ! ニャル子さん (GA文庫)
狐印
ソフトバンククリエイティブ 2009-04-15

by G-Tools


深夜。八坂真尋は得体の知れない「何か」に追われていた。どんなに助けを求めても応える声も人もなく、彼は町中をあてどなく逃げまどうしかない。そして息も切れ、自らの最期を覚悟したその瞬間―「いつもニコニコあなたの隣に這い寄る混沌、ニャルラトホテプです」―銀髪の美少女が、とてつもなく意味不明なキャッチフレーズとともに現れた。ニャルラトホテプ改めニャル子曰く、彼女は真尋を狙う悪の組織から、彼を守るために派遣されてきたというのだが…。こうして、真尋とニャル子の異常な日常が幕を開けた。這いよれ、ニャル子!負けるな、真尋!怒涛のハイテンション混沌コメディ。第1回GA文庫大賞奨励賞受賞作。



SAN値の防御に1本のフォーク。

表紙を飾っている美少女はニャルラトホテプである。かの有名なニャルラトホテプである。ナイアーラトテップとも云う。
私としては"ナイアーラトテップ"と表記した方がしっくり来る。個人的なお話です。しかしそうするとナイ子さんになってしまうので、何だか可愛らしくありません。"ニャルラトホテプ"を選択したのは、作者の英断ですね。

ニャル子さんである。可愛らしい響きである。
クトゥルフ神話を分かりやすく説明するならば。軟体動物みたいだったり。触手がウネウネだったり。人が刹那的にお亡くなりになったり。大体そんなかんじのおどろおどろしい話である。怪奇小説家が作り出した神話なので、おどろおどろしいのは当然の帰結なのですがね。
なのにも関わらずニャル子さんである。可愛らしい響きである。可愛らしい挿絵である。

前情報としてクトゥルフ神話が絡むと知っていたので、それなりに覚悟して読みました。ライトノベル作品における挿絵という存在は、ある種の釣りです。挿絵で内容を判断してはいけないのであります。可愛らしい挿絵だからといって、ファンシーな内容とは限らないのです。突然、皆さんに殺し合いをしてもらうような作品なのかもしれないのです。
読後の今だから云えますけど、そんな意気込みで読んだ自分が愚かでした。表紙とタイトルのまんまでした。ちょっとだけ猟奇臭いコメディです。

不条理コメディですね。納得できない事の連発です。ですが宇宙規模なら仕方がないよね、と腑に落ちてしまうのも事実。常識に囚われてはいけないのです。
この物語の世界観を純粋に受け止めると、純粋に楽しめる作品へと昇華します。クトゥルフ神話だの何だのは気にする必要性なんてありません。ただ知っていると、面白さが少し増えるというだけの話です。
導入から閉めまでテンポ良く進む良質なコントですね。真尋とニャル子の夫婦漫才です。這い寄る混沌に目を付けられた真尋に運がなかったのです。二人仲良く夫婦になりやがればいいのですよ。

笑って笑って、そして笑える。後腐れのない良作。
□GA文庫 | Comments(0) | Trackback(1)
2010/01/20

ヘヴィーオブジェクト/鎌池和馬

4048680692ヘヴィーオブジェクト (電撃文庫)
凪良
アスキー・メディアワークス 2009-10-10

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結局、戦争はなくならなかった。でも、変化はあった。くだらない殺し合いが淡々と続く中にも、変化はあった。超大型兵器オブジェクト。それが、戦争の全てを変えた。戦場に派遣留学した学生・クウェンサーは、整備基地で、奇妙な雰囲気を持つ少女と出会う。その少女は『エリート』と呼ばれていた―『オブジェクト』のパイロットとして。近い将来。このちっぽけな少年は、少女のために、最強の兵器『オブジェクト』へと、生身で立ち向かうことになる。これは、そのきっかけとなる出会いだった―。



巨大兵器をぶっ潰せ! 生身で!?

鎌池和馬氏のデビュー以来となる新シリーズ。アニメ化やスピンオフ作品が脚光を浴びている「とある魔術の禁書目録」の作者です。
良い感じの巨大ロボものだったのではないかと考えます。よくある巨大ロボは人型になってしまいますが、今作の巨大ロボは圧倒的なまでの機能美を追及した兵器。オブジェクトという名の兵器です。

オブジェクトとオブジェクトがぶつかり合うのが常識の戦場において、ちっぽけな人間がその全長50メートル級の兵器に挑むのは、熱い展開だった。
少年兵2人が常識では考えられないような功績を上げる。戦争という中に置いての功績というのは、リアルに描くとどうしても物悲しいものになってしまいがちです。今作では勧善懲悪を全面に押し出していたので、戦争の悲惨・苛酷を突きつけられる事は在りませんでした。ただただ純粋に少年兵が敵を倒すという爽快感が味わえた。ティーンズ・ノベルらしい善い出来です。

少し気になったのはヒロインの扱い。鎌池和馬氏の別シリーズでも云える事なのですが。お話が進んで行くに従い、ヒロインの影がどんどんと薄くなっていくような気がするのですよ。それが違和感になってしまった。作者はヒロインを冷遇するのが好きなんでしょうか。私は鎌池和馬氏にお会いした事も、お話した事も在りませんので、事の真相は分かりかねます。
ただせっかくの魅力的なヒロインを生かせていないのは頂けないのではないでしょうか。それとも少年兵2人が仲良くする様を強調したかったのでしょうか。確かに彼ら2人の友情は熱いものが在りました。しかし友情は友情です。そこから先に発展する何かを邪推するのは、どうしたものかと。

この物語の設定は、料理次第では如何様にも化けるはずです。ですから続きがもしも出るのであれば、今後の出来は作者の腕次第になるわけです。この物語が発展・昇華する様を見てみたいです。
□電撃文庫 | Comments(0) | Trackback(0)
2010/01/16

探偵・花咲太郎は閃かない/入間人間

4048682229探偵・花咲太郎は閃かない (メディアワークス文庫)
アスキー・メディアワークス 2009-12-16

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あらすじ

「推理は省いてショートカットしないとね」「期待してるわよ、メータンテー」ぼくの名前は花咲太郎。探偵だ。浮気調査が大事件となる事務所に勤め、日々迷子犬を探す仕事に明け暮れている。…にもかかわらず、皆さんはぼくの職業が公になるや、期待に目を輝かせて見つめてくる。刹那の閃きで事態を看破する名推理で、最良の結末を提供してくれるのだろうと。残念ながらぼくはただのロリコンだ。…っと。最愛の美少女・トウキが隣で睨んできてゾクゾクした。でも悪寒はそれだけじゃない。ぼくらの眼前には、なぜか真っ赤に乾いた死体が。…ぼくに過度な期待はしないで欲しいんだけどな。これは、『閃かない』探偵物語だ。



レビュー

ロリコン・花咲太郎は嘆かない

現実に居そうな探偵を描こうとした。だけど出来なかった。そんな作品。
MW文庫という新しいレーベルから出版された作品だが。内容は入間人間氏の電撃文庫作品のスピンオフである。
みーまーちゃんの8巻で異彩を放っていたロリコン探偵にスポットライトを当てた作品に仕上がっている。ロリコンというある種の社会の癌的な存在を扱う入間人間氏は流石というか、何というか。

殺人事件等には全くの興味がない探偵。しかし連れている女の子が、メタ視点で云う所の探偵気質。そのせいで死体との遭遇率が高くなってしまっている。
本人の望まぬ所で事件に遭遇する。そして解決してしまうパターンが多い。解決と云い切ってしまうには、疑問が生まれる事件も在るが。
本人が犬・猫専門探偵を謳っているだけで、実際には花咲太郎という探偵は優秀なのではないだろうか。本編中に見受けられた見落としは、やる気がないから閃かなかったとも云える。真面目に推理をすれば名探偵も夢ではないのかもしれない。

花咲太郎という存在が名探偵になったとしたら。それはそれで面白い作品だろう。だが花咲太郎は閃かないからこそ面白いのかもしれない。
本書の5章の中で、探偵が殺し屋と絡んだシーンを見ていると、この作品の目指すものが何だか分かったような気がする。
緊張感がないのだ。探偵と殺し屋。2つが揃えば、時間に追われるようなサスペンスが始まっても可笑しくないような要因なのだ。だが本文中での2人の邂逅からは、目が回るような展開に発展する事はなかった。ただの自転車の追いかけっこをしただけなのだから。

花咲太郎はローカルな探偵なのだろう。地域密着型なのだ。
何だかんだ云って、実は町を愛しているタイプだ。町に根を張って生きていこうとするタイプの人間だ。町の平和を祈る探偵。安寧を望む探偵。だが事件には遭遇してしまう。そんな探偵が地べたに這いつくばって歩み続ける姿が、この作品の面白さになり得ているのかもしれない。
爽快感はない。大きな感動もない。だけど魅力的なキャラクターが事件に振り回されているのを観劇するのは面白い。すごく良いキャラクター小説なのだろう。魅力の在るキャラクターを生み出せているのだから。
□MW文庫 | Comments(0) | Trackback(0)
2010/01/12

[映]アムリタ/野崎まど

4048682695[映]アムリタ (メディアワークス文庫 の 1-1)
アスキー・メディアワークス 2009-12-16

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あらすじ

自主制作映画に参加することになった芸大生の二見遭一。その映画は天才と噂されるつかみどころのない性格の女性、最原最早の監督作品だった。最初はその天才という呼び名に半信半疑だったものの、二見は彼女のコンテを読み始めた直後にその魅力にとりつかれ、なんと二日以上もの間読み続けてしまう。彼女が撮る映画、そして彼女自身への興味が二見を撮影へのめりこませていく。そしてついに映画は完成するのだが―。第16回電撃小説大賞“メディアワークス文庫賞”受賞作。



レビュー

天才監督と凡庸役者の活動写真。

芸大で自主制作映画を撮る話。冒頭から世界に引き込まれた。私は本を読むときに付箋を使う。気になった箇所にベタベタと貼るのだ。この本に使った付箋は、普段読む本の3倍は在ったかもしれない。もしかしたらそれ以上かもしれない。それほどまでに気になる部分が多かった。感銘を受けた部分も多いのだが。それと同時に己の中で解釈を仕切れない部分も多かった。

天才という存在は扱うのが難しい。凡庸な人間には天才の思考は理解できないからだ。この作品の天才・最原最早が、それだ。理解が及ばない。それはこの物語の主人公も同じ事だろう。理解したつもりで天才で挑んだ所で、天才と同じフィールドには立てるはずもない。天才というカードが物語りの中で切られたら、凡才は何もできなくなるだろう。天才に踊らされるだけなのだ。

最初はこの物語を青春小説だと認識したのだが。読み進める内に、その印象がコロコロと変わった。ミステリのようになり、SFのようになり、オカルトファンタジーのようになり。私の思考はあちらこちらへと飛ばされた。読み終わった時には混乱していた。そして純粋な恐怖が生まれた。
一概にこれだ、とジャンルを確定するのは難しい。私の中でも暫く結論は出ないだろう。ずっと出ないのかもしれない。
この小説は凡庸な役者が、天才の掌の上で踊らされた喜劇なのだろうか。それとも天才と凡才による、純粋な愛の物語なのだろうか。私には上手く説明できないようだ。

これまで私が読んだ本の中にも、幾人かの天才が登場した。それらの天才達は、未だに私の心の中で暗躍している。私に希望を与えたり、絶望を与えたりしているのだ。
最原最早という天才も、そういった存在になってしまうだろう。彼女も紛う事無き天才なのだから。
□MW文庫 | Comments(0) | Trackback(0)
2010/01/10

デュラララ!!×7 /成田良悟

4048682768デュラララ!!×7 (電撃文庫)
ヤスダ スズヒト
アスキーメディアワークス 2010-01-10

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あらすじ

「僕は何もしてないよ。あれは、ダラーズみんなでやった事だから―」東京・池袋。この街の休日はまだ終わらない。臨也が何者かに刺された翌日、池袋には事件の傷痕が未だに生々しく残っていた。すれ違うことなく街を徘徊するクラスメイトの男女、弟に付きまとう女の動向を窺う姉、最強の男を殺すために強くなろうとする少女、兄のことなど気にせずひたすら無邪気な双子、今後の自分を憂い続けるロシア出身の女性、過去の未練にしがみつくヤクザな男、休日を満喫しようと旅行に出た闇医者、そして安心しきりの首なしライダーは―。さあ、みんな一緒に、デュラララ!!×7。



レビュー

収束しない群像劇。短編集とも云う。折原臨也の人間賛歌。

この作品を読んでいて、1つ考えた事が在る。
越佐大橋シリーズ・デュラララ!!シリーズあたりを読んでいると考えてしまう。成田良悟氏は、ユビキタス・コミュニケーションを面白い具合に表現しているのではないかと。
ライトノベルという存在を軽視する人もいるけど。時代の流れを汲んだ、ある意味においては、今らしい小説が生み出されるのも事実ではないだろうか。 ライトノベルは小説に足り得るのか、という話題を耳にしたばかりなので。そのような事を考えた。ライトノベルが、どうのこうの、という話題を置いておいてもだ。成田良悟氏の作品では、ユビキタス社会を上手い具合に表現している、と感じる。現実味が在るのだ。
今現在実現しており、日常生活に浸透しているコミュニケーション・ツール。それらを巧みに操り、物語の根幹と成している。携帯やネットを使うことによる、情報の交錯に現実味が在るのだ。近親感が湧く、とでも云えば良いのだろうか。

シリーズの第7巻を読んで。改めて認識した事が在る。これは愛の物語なのだと。歪んだ愛の物語だ。
スポットが当たらないだけで。深い愛を謳歌している登場人物が多い事を再認識させられた。勿論、それだけで今巻のお話が終わるわけではないが。
成田良悟氏お得意の収束感が味わえ無かった。収束しない群像劇。正しい認識を持って挑めば、短編集と云えば良い。ほとんど独立した話が収録されていたのだから。愛の話だったり、ヤクザ屋さんの話だったり、取り立て屋の話だったり、また愛の話だったり。最終的には折原臨也の人間賛歌。
池袋という狭い空間を描いているのに。この作品の面白味は減らないようだ。まだまだ破天荒な混乱を見せてくれそうである。

毎回思うことだが。遊馬崎と狩沢の会話には考えさせられる。
□電撃文庫 | Comments(0) | Trackback(0)
2010/01/09

嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 8 日常の価値は非凡/入間人間

4048680080嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん〈8〉日常の価値は非凡 (電撃文庫)

アスキーメディアワークス 2009-09-10

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あらすじ

これは、僕とまーちゃんの平穏無事で素敵なバカンス……? ほんさくのとうじょうじんぶつです。みどりのぼうしのたんていのひと(ろりこん)。ろりこんぎらいのおんなのこ。おかしなおじさん。じさつしたあねをもつひと。しょしんしゃなかつぷる。ねこずきさっか。きんぱつあおすーつのひと。きれいなこわいおんなのひと。ばかんすでやってきた、うみがちかくにあるほてるにて。だれがしんで。だれがしなないか。僕とまーちやんは、知らない



レビュー

この物語において、みーまーちゃんの活躍は皆無である。

いつもは人の生き死にを扱う最前線におられますお二方ですが。今回はあまり目立った物語への介入が無かった。
ある意味では、みーまーちゃんにとっては最良のバカンスだと云える。祝日・長期休暇も関係なしの、ある意味罰が当たっても良さそうなバカンスなのだが。平和な時間を過ごした、と云える。みーまーちゃんに限った話ならばだが。

みーまーちゃんが、平和な旅行を楽しんでいる裏では、壮絶な事件が巻き起こっていた。複雑に絡み合う、人と人。各々が目的を持って訪れた、とあるホテルのワンフロア。ワンフロア、という狭い空間での出来事に絞って語られているのに、予想外の出来事が連続する。次々と提出される誰某の思惑。多種多様な思惑が織り交ざっての混沌と混乱が繰り広げられていた。そんな事件が起きているにも関わらず。平和な時間を過ごしたみーまーちゃんは、この物語の主役、としてどうなのかと思った。だが偶にはこういう指向も悪くない。事実楽しめた。

みーまーちゃんが活躍しない代わりに、沢山の新規参入キャラの皆さんが登場なされた。どの新キャラも、何かしらの作品で主人公を演じても可笑しくないくらいにはクセが在った。自殺志願者だり、ロリコン探偵だり、更には別の作品のキャラクターの影までが見えてしまった気がする。
クセの在るキャラクター達が、各々の目的のために絡み合う姿は、見ている分には滑稽だった。もし巻き込まれたら、相当悲惨である。

普段はみーくん、という僕が語る一人称の物語だが。今回は視点がコロコロと変わった。ある意味において分かりやすい形の群像劇。多視点からなるミステリとも云える。
クセのあるキャラが立ち回る姿は、読んでいて面白い。だが読者を驚かせるような奇抜性が若干弱かった気がする。終盤の意外性に、もう少しの工夫が欲しかった気がする。

世界は中学生で廻っている。そんな言葉を思い出した。ロリコン探偵のお蔭だと推測する。
□電撃文庫 | Comments(0) | Trackback(0)
2010/01/08

嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん『i』―記憶の形成は作為/入間人間

4048678442嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん『i』―記憶の形成は作為 (電撃文庫)
アスキーメディアワークス 2009-06-10

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あらすじ

むかしのことを考えると頭の中が深夜のテレビみたいにノイズだらけになるさっこん、いかがお過ごしでしょうか。これは、ぼくがまだ僕になる前の話だ。家庭内にぎやか事件のあと、ぼくはいろんな人と出会った。恋日先生、じさつ志願者、いじめっ子少女、にもうと、そして、マユちゃん。みんな(とくにマユちゃん)の純粋むくな姿がめじろおしでおとどけなのである。…むかしのぼくは正直ものだったんだよね。うそだけど…今度、じしょでうそって字を調べとこう。



レビュー

妹っていう生き物がなんなのかも、分かる気がしなかった。

みーくんの過去にスポットを当てた、貴重な短編集。
みーまーちゃんの今までのシリーズは、過去に何が在った、とは匂わせるのだが、いかんせん詳しい内容には触れていなかった。その内容が、今回の短編集では少し語られた。みーくん、というこの物語の主人公の内面を理解していくための、貴重な判断材料となり得る。完璧に理解することはできないにしても、ある程度の考察ができるくらいには資料が与えられたわけだ。

何だろうか。あまり良い気分になる内容ではない。云ってしまえば、気分が悪くなるような。人間の嫌な部分だけを凝縮して描いているような作品だ。この作品は悪意に満ちている。
だが読む事を止めようとは思わない。何かしらの面白味が在るようだ。詳しくは記す事ができない。私の中でもハッキリと定まっていないのだ。

気分が悪くなるような作品なのにも関わらず。登場するキャラクター達は、何故か魅力的だ。何かしらの穢れてきなものが、彼らを美しく見せているのだろうか。いつ壊れても可笑しくない存在だからこそ、絶えず輝き続ける事ができるのかもしれない。ある意味に置いては、とても精密なバランスの元に、この物語は進行しているような気がする。一歩間違えただけで、即消滅してしまいそうなのだ。不完全なキャラクター達が、不完全な物語を支えている、とでも云えばいいのだろうか。

この作品の魅力は、あまり他人事とは云えない部分にもあるのかもしれない。人間は脆い生き物だ。いつこの作品の中の登場人物のような壊れた人間になってしまうか分からない。忌避すべき存在なのに、その存在に惹きつけられる。そら恐ろしい話だ。お手本にしてはいけない形を望んでしまうようになるのだから。事実、私がそうだ。この物語の続きを読みたいと渇望してしまう。

取り敢えずだ。にもうとが可愛かった。
□電撃文庫 | Comments(0) | Trackback(0)
2010/01/07

ソードアート・オンライン 3/川原礫

4048681931ソードアート・オンライン〈3〉フェアリィ・ダンス (電撃文庫)
abec
アスキーメディアワークス 2009-12-10

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あらすじ

禁断のデスバトルMMO『ソードアート・オンライン』から現実世界に戻ってきたキリト。彼は攻略パートナーであり、想い人でもあるアスナのもとに向かう。しかし、結城明日奈は、あの悪夢のゲームからまだ帰還していなかった。困惑と絶望に包まれるキリト。唯一の手がかりは、鳥篭の中で佇む“妖精姿”のアスナという謎の画像データのみ。どうやら彼女は、高スペックVRMMO“アルヴヘイム・オンライン”というゲーム内に囚われているらしい。キリトはアスナを救うため、飛翔する妖精プレイヤーたちが交錯する“ALO”に飛び込んでいく…!!WEB上でも屈指の人気を誇った『フェアリィ・ダンス』編、スタート。



レビュー

「いつまで待っても無駄よ。あなたにあげるのは軽蔑と嫌悪、それだけだわ」

SAOシリーズの3作目。とうとうSAOクリア後の世界が描かれ始めた。
SAO、というタイトルを関してはいるが。今回から登場人物たちが攻略を進めているのは、アルヴヘイム・オンライン(以下ALO)、という新しいVRMMORPG。

前回のゲームであるSAOでは、ベータテスター、という立ち位置だったキリト。その立場を生かし。ソロの攻略プレイヤーとして活躍していた。今回はベータテスターでも何でもない立場から、サーバーが稼動して1年以上が経過したALOの世界に突然に放り込まれたキリト。普通ならばどうする事もできないような、現役プレイヤーとの壁が生まれるはずだが。諸々の事情でSAOにシステムデータがALOに移行されていたわけで。キリトは恙無く物語を進める事ができたわけだ。

2巻を読み終えて考えた事が在ります。SAO、というタイトルを冠したゲームをクリアしてしまったのだから、もうお話は終わりなのではないだろうか、と。しかし3巻を読み終えて、その心配は無くなりました。SAOシリーズは、まだまだ続きます。ALOへと舞台を変えましたが。キリトの闘いは終わっていないのです。アスナを助け出す、その日までは。
だがまだ不安事項は在りました。SAOという死のゲームと比べてしまうと、ALOは温いのではないかと。プレイヤーが死んだ所で、現実の肉体も死を迎えるわけではありませんし。いささか緊張感に欠けてしまうのではないかと。しかしその不安も払拭されました。本編中の橋上の戦闘では涙を流してしまったほどです。

キリトは2年もの間、VRMMORPGの世界に閉じ込められていました。その世界が現実だったのです。その世界の死が、己の死に繋がる。紛う事なき現実です。
その時に体験した悲しみを背負っているのが、キリトです。VRの世界に相対して、喜びや悲しみを味わってきたわけです。そんな彼だからこそ、VR=偽者、という図式を単純に受け止める事ができないのかもしれない。そういった観点から考えていくと。先程云ったような涙を誘うような出来事も起きます。
死ぬ事のないゲームだからといって。そこに感動が生まれないわけじゃない。そういった事を教えてくれる3巻でした。

しかしハーレム短編集の後は義理の妹ですか。キリトの魔の手はどこまで広がるのやら。
最後に1つだけ言わせて頂きますと。サラマンダーの焼肉は食べたくない。
□電撃文庫 | Comments(0) | Trackback(0)
2010/01/06

電波女と青春男 3/入間人間

4048681389電波女と青春男 3 (電撃文庫 い 9-12)
ブリキ
アスキー・メディアワークス 2009-11-10

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あらすじ

宇宙人が見守る街で『未知との遭遇』をした……のか? えーと今度はなんなんだろう。とっても電波な女の子・藤和エリオの前に鎮座ましますは、宇宙服を着込んだ謎の少女(たぶん。声色で判断)。ヤシロと名乗るその宇宙服女は、「この星には観光ではなくビジネスで来た」とかなんとか言って、俺たちの行く先々に登場してくる。えー、前川さんと野球したり、リュウシさんのバスケ観たり、いろいろやることあるのになぁ……。エリオと過ごす今年の夏は、退屈なんて感じなさそうだな。宇宙人が見守る街でささやかにお届けする青春ラブコメ、なのかなぁ、これ?




レビュー

宇宙服は伊達じゃない!

電波女と青春男。略して電波男。そのシリーズ3作目。
この物語の根幹を揺るがす衝撃的な出来事が起こった。今までは、現代を舞台にした作品であり。そしてリアリティのある作品だった。リアリティ、という言葉を使ったのは、魔法や超能力が存在しなかったためである。しかしこの3作目にして。超常現象の類が存在するかもしれない、という疑惑が生まれた。
疑惑であり確証ではない。次の巻での出方を待つしかないのが、現状だ。

入間人間の作品は、電撃文庫・MW文庫の作品に絞った話をさせて頂くならば。全部の作品がリンクしているような描写が在る。その点を踏まえるとだ。ここで超能力の類を認めてしまうと、別の作品への印象が変わってしまう恐れが在るのだ。正直、私はそういう事態を忌避している。
だがまあ最初から宇宙人だの何だのと云っている作品であるわけで。あまりそういう邪推な思考を進めていくのも、益のない話だ。純粋に物語を楽しませてもらう、としよう。

相変わらず前川さんのコスプレが笑いのツボを突く。登場するたんびにニヤニヤ、としてしまう。迂闊に外で読むのは危険な類の本だ。
前川さんのコスプレも奇抜だが。今回はそれに引けを取らない格好の人物が現れた。平和な街中に宇宙服姿の人間が闊歩しているのだ。入間人間のこのセンスは嫌いじゃない。
電波女と青春男、という作品を初めて読んだ時にも、歪な格好の者に出会った。布団で簀巻きになっているアレである。しかしその実体は美少女だったわけで。そこがライトノベルらしいとも云える。出てきて欲しいものが出る。夢の読み物だ。
日常には似つかわしくない異質なもの。そんな異質なものから、素敵なものが出てくるのは、このシリーズの伝統なのだろか。宇宙服の中からも、案の定に美少女が出てきたわけで。

宇宙服の中の美少女。星宮社は、自分を超能力者だと呼称した。その事が、この記事の冒頭で触れた事に関わってくる。終盤で実際に超能力らしき行動を実証してしまったのだ。詳しく説明されるままに、この巻は幕を引いてしまったわけで。それ故に、私の中ではモヤモヤ、としている。
果たして電波女は、本当に電波なのだろうか。青春男の青春が虚偽なのかもしれない。世界には異質なものが溢れ。とある観測者には電波に見えても、それは日常茶飯事な出来事なのかもしれない。いろいろ考察していくと、このシリーズの続きを読むのが、本当に楽しみになってくる。
□電撃文庫 | Comments(0) | Trackback(0)
2010/01/05

ソードアート・オンライン 2/川原礫

404867935Xソードアート・オンライン〈2〉アインクラッド (電撃文庫)
abec
アスキーメディアワークス 2009-08-10

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あらすじ

クリアするまで脱出不可能のデスバトルMMO『ソードアート・オンライン』に接続した主人公・キリト。最上階層を目指す“攻略組”の彼以外にも、様々な職業や考え方を持つプレイヤーがそこには存在していた。彼女たちはログアウト不可能という苛烈な状況下でも、生き生きと暮らし、喜び笑い、そして時には泣いて、ただ“ゲーム”を楽しんでいた。“ビーストテイマー”のシリカ、“鍛冶屋”の女店主・リズベット、謎の幼女・ユイ、そして黒い剣士が忘れることの出来ない少女・サチ―。ソロプレイヤー・キリトが彼女たちと交わした、四つのエピソードを、今紐解く。


レビュー

キリトさんのハーレム短編集

元々はネットで話題の小説だったらしく。刊行前から注目の的だったソードアート・オンライン。実際の所、ソードアート・オンラインとアクセル・ワールドは、どちらの方が評価が高いのでしょうか。あまりそういった事を調べた事がないので、詳しくは分かりません。
まあ何にせよ。あまりそういった色眼鏡に頼って作品を見るのはよくありませんね。何が良くて、何が良くないのか。結局の所、それは個人の主観で決定されてしまう事象ですから。じゃあ感想を書く行為自体が無駄じゃないか、という疑問が生まれる訳ですが。その辺は考え出すと難しい話なので、止めましょう。
このブログの左上の方にも書いて在ります通り、「日々劣化する頭から、折角読んだ本を忘れないようにするためのレビュー行為weblog。」、というのを心情にやっておりますので。本の評価だ、宣伝だ、というのは置いておきましょう。
話が逸れてしまいました。軌道修正いたしましょう。

ソードアート・オンラインのシリーズ第2巻です。前回、無事にソート・アート・オンライン、という死のゲームをめでたくクリアした訳ですが。第2巻の今作では、ゲームのクリア後のお話を描いた訳ではありません。第1作では語られる事の無かった、キリトがソードアート・オンライン、というVRMMORPGの世界で体験した4つの出来事に焦点を当てた物語。4つの短編から構成された1冊にまとまっておりました。

取り敢えず最初に一言だけ云わせてもらうならば。何だこのハーレム・ルートは。
キリトさんがソードアート・オンラインの中でハレームを形成していった、ある種の年代記ですよ。そうです。クロニクルです。
MMORPGの日常生活に視点を当てているのは面白い所。こういった剣や魔物が現れる世界、というのは冒険活劇的なものになりがちですからね。ファンタジーの世界を舞台にした作品で、日常生活を描く事に重きを置いた作品、と云えば。私ですと、狼と香辛料、あたりを連想します。しかしソードアート・オンラインの話をすると。この作品は狼と香辛料ほどに、マッタリとしている訳ではない。一応には主人公の職業は剣士なので。向こうの作品ほどに穏健な内容では在りません。

ユイを巡るお話が、個人的には好きだった。
何だろう。娘的なものに憧れでもあるのだろうか。何にせよ胸を打つ話だった。

最前線を描かないお蔭が在るのだろうが。キリトのスキルが高く、ここでは死なないだろう、という安心感が在った。だから安心してほんわかした雰囲気を楽しめた。
4つ目の短編である「赤鼻のトナカイ」では、そういったほんわかした雰囲気は在りませんでした。キリトがソードアート・オンラインの中に残した悔恨が辛かった。彼の苦しみや後悔を知ってしまった訳で。こうした今の気持ちで、第1作目を読み直せば、また違った解釈ができる気がする。

何にせよ、この第二作でソードアート・オンラインの世界のお話は終了。
次作では、いよいよゲーム・クリア後の物語が描かれるらしい。果たしてどのような内容になるのだろうか。ゲームをクリアをしてしまった訳だから。後はキリトとアスナがくっ付けば善いような気がするのですけどね。全く持って先が想像できません。訂正です。この先どのような事象を描けば話が面白くなるか分からない、とでも云えばいいのでしょうか。
□電撃文庫 | Comments(0) | Trackback(0)
2010/01/04

僕の小規模な奇跡/入間人間

4048681214僕の小規模な奇跡
アスキーメディアワークス 2009-10

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あらすじ

あなたのこと全く好きではないけど、付き合ってもいいわ。その代わりに、わたしをちゃんと守ってね。理想として、あなたが死んでもいいから。僕が彼女の為に生きたという結果が、いつの日か、遠い遠い全く別の物語に生まれ変わりますように。これは、そんな青春物語だ。



レビュー

理想として、あなたが死んでもいいから。

終始、靴という単語が重要になってくる群像劇。
主な内容は、兄と妹の視点が交互に語られていく、といった内容。どちらも20年前のとある出来事に、何がしかの因果関係を持ち、お話が進んでいく。

入間人間の初・ハードカバー、ということで。一体全体、電撃文庫とは、どのように違う作品を作ってくれるのかとワクワクしながら読ませてもらいました。だがしかしハードカバーになろうと、何だろうと、入間人間入間人間でした。いつも通りの一癖も二癖もあるような文体で、独特の雰囲気を演出してくれていました。

起承転結の転が中々に現れず。終盤になり、怒涛の勢いで結に向かって収束。人によってはエピローグは蛇足ではなかろうか、と思ってしまうかもしれないが。私は、このエピローグのお蔭で、とても良い読後感を味わう事ができた。

シュールな空気の中に、ちりばめられた小規模な奇跡が善かった。
□AMW | Comments(0) | Trackback(0)
2010/01/03

我が家のお稲荷さま。 6/柴村仁

4840236046我が家のお稲荷さま。〈6〉 (電撃文庫)
メディアワークス 2006-11

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あらすじ

冬休みのある日。ひと助けと無料ケーキを目的に、ミニスカのコスチュームに身を包み、ケーキ屋さんの客引きをするクーとコウ。一方その頃、昇は見知らぬ黒ずくめの人物に「やっほー」と声をかけられ、鈴ノ瀬の町を案内していた。そしてさらに、透とコウはお金持ちそうな老人と知り合い、お屋敷に招待されて…。全く関係なさそうなそんな出来事が、思いがけない方向へと…。でもやっぱりほのぼのな、現代のお伽噺第6弾。



レビュー

「だってレンさんが倒れてるのって、オレが案内してオレと歩いた道ばっかなんだもんなあ」

相も変わらずな、のほほんとした雰囲気の今シリーズ。それがいいんですけどね。
1章がAサイドとBサイドに分かれていて、何やら群像劇的な演出。良いですね群像劇。私の大好きなジャンルです。

群像劇というものは、最初から最後までドタバタした印象を、私は持っているのですが。今作は、私のそんな印象を綺麗に打ち消してくれました。最初から最後までのほほんとした空気で流れて、のほほんとボスキャラをやっつけてしまいました。そういう所が、「我が家のお稲荷さまシリーズ」の魅力だとは思いますけど。あまりにも切羽詰りすぎたら、それは別の作品になってしまう気がします。

岩薙はあれですよね。斬れないものがない、というよりも、会話にキレがない。もうちょっと自信を持ってもいいのではないでしょうか。立派な妖刀なんですから。ですが禍々しい妖刀が、加害妄想の女の子、というのもギャップ萌え要素になり得るのかもしれません。
何にせよ、彼女はよく笑うようになった。それが今作で一番の僥倖。
唯1つ心残りなのは。そんな彼女の素敵な笑顔の1枚絵が無かった事。キョドってる絵も可愛かったですけどね。


□電撃文庫 | Comments(0) | Trackback(0)
2010/01/02

シュガーダーク 埋められた闇と少女/新井円侍

4044748047シュガーダーク 埋められた闇と少女 (角川スニーカー文庫)
mebae
角川書店(角川グループパブリッシング) 2009-11-28

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あらすじ

えん罪により逮捕された少年ムオルは、人里離れた共同霊園に送られ墓穴を掘る毎日を送っていた。そんなある夜、自らを墓守りと名乗る少女メリアと出逢う。彼女に惹かれていくムオル。だが謎の子供カラスから、ムオルが掘っている墓穴は、人類の天敵・死なずの怪物“ザ・ダーク”を埋葬するものだと聞かされる!混乱するムオルは、さらにダークに殺されるメリアを目撃してしまい―!?第14回スニーカー大賞大賞受賞。



レビュー

墓場のボーイ・ミーツ・ガール

最後まで読みきって「ああ、そういうことだったんだな」とタイトルを理解する事ができました。
夜の墓地でしか邂逅することのない少年と少女。その二人のボーイ・ミーツ・ガールなストーリー。終始暗い雰囲気の中で語られる少年と少女の物語。でも、その中には、とても甘い蜜事が含まれていました。
以上ような感想が、僕が最後まで読み進めて感じたタイトルへの印象。

思春期バリバリなんだけど、戦場っていう異常空間にさらされて、でも純粋な心を失っていない主人公が好きだ。そして墓場の中だけでしか生きてこれなかった少女が、初めて異性を意識して、心が動かされていく描写もよかった。
終始、陰鬱な夜だけを舞台に描かれていた作品では在るが。それは最後への肝心な布石、というヤツだろう。この物語の最後に見る事ができた「新しい夜明け」は、とても心に響くものがあった。
6年ぶりのスニーカー大賞、という重い荷を背負った今作では在る。その影響で、様々な事も言われるだろう。だが、私は最後に1つだけ付け加えて、この作品への感想を捧げよう。

ありがとう。良い体験をさせて貰った。

蛇足的では在るが。私は今作の続編ではなく、この作者の違った作品も読んでみたい。
□スニーカー文庫 | Comments(0) | Trackback(0)
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