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2010/01/27

月見月理解の探偵殺人/明月千里

4797356715月見月理解の探偵殺人 (GA文庫)
mebae
ソフトバンククリエイティブ 2009-12-15

by G-Tools


「どうしたんだ、暗い顔して。またちゅーでもしてやろうか?」「全部君が原因だよっ!」都築初のクラスに車椅子の少女が現れた。唯我独尊な態度で周囲を圧倒する、その美しい少女の名は月見月理解。彼女は、ネット上のチャット参加型推理ゲーム“探偵殺人ゲーム”の伝説的なプレイヤーにして、大財閥・月見月家の探偵でもあった。「この学校に、人殺しがいる」理解は、初に調査の協力を求めると共に、無視できない、ひとつの勝負を持ちかけてきた!第1回GA文庫大賞・奨励賞、一番の問題作が登場!「ならば今度も俺様を殺してみるがいい。それでは―“探偵殺人ゲーム”を始めよう」。



俺様探偵の私的事件簿。

ライトノベルであり、そしてミステリ。
キャラクター小説としての体を上手く活用している。純粋にミステリ作品として評価すると及第点。ライトノベルだの、ミステリだのと穿った視点で作品を評価するのは宜しくない。純粋に物語の感想を述べよう。

高校生の女の子の一人称が俺様。そして探偵を名乗ると来たものだ。アクの強い設定だ。人の目を引くキャラクターを構築できているので、キャラクター小説としては成功なのだろう。
アクが強いという表現を使ったが、独特なのはキャラクターだけではなく、お話自体一癖も二癖も在る。騙し騙されて信仰していく物語。ミスリードが錯綜してのトリック。
起承転結の結への流れは、読んでいて飽く事がなかった。エンディングまでの流れが、怒涛の勢いで進行したのだ。
終盤の流れに感心させられたのは事実だ。だがその終盤の流れまで持っていく進行に、少々起伏が足りなかった気がする。悪く云ってしまえば、途中で飽きてしまう可能性も在る。タイム・テーブルに若干の改善の余地が在るのだ。

世界のあまり美しくない部分に、直面してしまうような描写が在る。ネガティブな人は読むのに気を付けた方がいいだろう。ネガティブ思考者への、要注意指定書籍だ。
私たちが生活しているのは、綺麗事だけでは乗り切れない世界である。そういう観点から考えると、私はこの作品の在り方は嫌いではありません。人間に完璧な救済の在るお話ではありませんでした。ですが完璧な絶望だけが待っているようなお話でもなかった。読後感は悪くないのだ。

人間の複雑怪奇な精神構造が引き起こした悲劇の物語なのだろう。いや悲劇ではないか。人間が人間らしく生きようとして破綻した物語、とでも云えばいいのか。
一概にこれだと云い切る事が難しい。読み終わった後も、頭の中で物語に対する姿勢が確定しないのは、ある意味においては良い本だったという事なのかもしれない。読後も考察を続けることが出来るのは、その物語に魅力が在るからに、他ならない。

完璧な救済がない代わりに、完璧な絶望もないのだ。
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□GA文庫 | Comments(0) | Trackback(1)
2010/01/21

這いよれ! ニャル子さん/逢空万太

4797354143這いよれ! ニャル子さん (GA文庫)
狐印
ソフトバンククリエイティブ 2009-04-15

by G-Tools


深夜。八坂真尋は得体の知れない「何か」に追われていた。どんなに助けを求めても応える声も人もなく、彼は町中をあてどなく逃げまどうしかない。そして息も切れ、自らの最期を覚悟したその瞬間―「いつもニコニコあなたの隣に這い寄る混沌、ニャルラトホテプです」―銀髪の美少女が、とてつもなく意味不明なキャッチフレーズとともに現れた。ニャルラトホテプ改めニャル子曰く、彼女は真尋を狙う悪の組織から、彼を守るために派遣されてきたというのだが…。こうして、真尋とニャル子の異常な日常が幕を開けた。這いよれ、ニャル子!負けるな、真尋!怒涛のハイテンション混沌コメディ。第1回GA文庫大賞奨励賞受賞作。



SAN値の防御に1本のフォーク。

表紙を飾っている美少女はニャルラトホテプである。かの有名なニャルラトホテプである。ナイアーラトテップとも云う。
私としては"ナイアーラトテップ"と表記した方がしっくり来る。個人的なお話です。しかしそうするとナイ子さんになってしまうので、何だか可愛らしくありません。"ニャルラトホテプ"を選択したのは、作者の英断ですね。

ニャル子さんである。可愛らしい響きである。
クトゥルフ神話を分かりやすく説明するならば。軟体動物みたいだったり。触手がウネウネだったり。人が刹那的にお亡くなりになったり。大体そんなかんじのおどろおどろしい話である。怪奇小説家が作り出した神話なので、おどろおどろしいのは当然の帰結なのですがね。
なのにも関わらずニャル子さんである。可愛らしい響きである。可愛らしい挿絵である。

前情報としてクトゥルフ神話が絡むと知っていたので、それなりに覚悟して読みました。ライトノベル作品における挿絵という存在は、ある種の釣りです。挿絵で内容を判断してはいけないのであります。可愛らしい挿絵だからといって、ファンシーな内容とは限らないのです。突然、皆さんに殺し合いをしてもらうような作品なのかもしれないのです。
読後の今だから云えますけど、そんな意気込みで読んだ自分が愚かでした。表紙とタイトルのまんまでした。ちょっとだけ猟奇臭いコメディです。

不条理コメディですね。納得できない事の連発です。ですが宇宙規模なら仕方がないよね、と腑に落ちてしまうのも事実。常識に囚われてはいけないのです。
この物語の世界観を純粋に受け止めると、純粋に楽しめる作品へと昇華します。クトゥルフ神話だの何だのは気にする必要性なんてありません。ただ知っていると、面白さが少し増えるというだけの話です。
導入から閉めまでテンポ良く進む良質なコントですね。真尋とニャル子の夫婦漫才です。這い寄る混沌に目を付けられた真尋に運がなかったのです。二人仲良く夫婦になりやがればいいのですよ。

笑って笑って、そして笑える。後腐れのない良作。
□GA文庫 | Comments(0) | Trackback(1)
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